「大学進学で、初めての一人暮らし。大学生のアパートの選び方って、どうすれば良いの?」
アパート探しは、春から大学生になるご本人にとっても親御さんにとっても、初めての体験になることが多いでしょう。
アパートの選び方次第で、大学生生活は楽しいものにも苦しいものになり得ることは、しっかり認識しておきたいところです。それほど、大学生にとってアパートの選び方は重要です。
大学生が選ぶべきアパートは、第一に安全であること。第二に、住む本人にとって快適で、勉学に集中できることが大切です。
この記事では、大学生のアパート選びを成功させたい方・失敗したくない方に向けて、アパート選びの基礎知識から注意点まで、ていねいに解説します。
具体的には、以下のステップに沿って、それぞれの選び方のポイントを詳しくご紹介します。
① 住居の形態を選ぶ ② どこの地域に住むか選ぶ ③ どんな条件が良いか決める ④ 仲介を依頼する不動産業者を選ぶ ⑤ 複数の候補から部屋を決める
さらに、大学生のアパートの家賃や初期費用についての情報もたっぷりです。
初めてのアパート探しで不安を感じている方も、最後までご覧いただければ、アパートの選び方がよくわかり、自信を持ってアパート探しをスタートできるようになります。
では、さっそく見ていきましょう。
目次
1. 大学生のアパートの選び方① 住居の形態を選ぶ
最初に触れておきたいのが、大学生の「住居の形態」についてです。
「大学生の一人暮らし=アパート」と連想する方が多いと思いますが、大学生の住居の選択肢はアパート以外にも様々あることをご存じでしょうか。
最初から「アパートだけ」と限定せずに、他の住居形態も含めて探した方が良い住まいに出会える可能性が高くなります。アパート以外の選択肢についても把握しておきましょう。
全国大学生活協同組合連合会「第55回学生生活実態調査」によると、自宅以外で暮らしている大学生のうち、アパートで暮らしている大学生はおよそ6割弱です。残りの4割強の大学生は、アパート以外の住居形態で暮らしています。
主な大学生の住居形態としては、以下が挙げられます。
▼ 大学生の住居形態
住居形態の種類 | こんな学生におすすめ |
1. アパート | 手頃な家賃で自分好みの部屋を探したい |
2. マンション | 家賃が高めでも設備の整った住まいに住みたい |
3. 大学の寮(学生寮) | 家賃を安く抑えたい/同級生や先輩後輩との交流を深めたい |
4. 学生会館 | 安全性を第一に優先したい/食事付きが良い |
5. シェアハウス | 異文化の人たちと交流したい/家賃を安く抑えたい |
6. 下宿 | 大学の近くに親戚宅がある |
この章では、上記の6つの住居形態について、それぞれ詳しく解説します。
「すでにアパート以外の住居形態も知っている」という方は、本章は飛ばして次章の「2. 大学生のアパートの選び方② どこの地域に住むか選ぶ」からご覧ください。
1-1. アパート
1つめの住居形態は「アパート」です。
大学生の住まい選びでは、このあとご紹介する他の選択肢も視野に入れつつ、アパートを第一候補としておけば間違いはありません。
アパートは、6割近くの大学生が選んでいることからもわかるとおり、最も一般的な住居形態で、選べる物件が豊富にあるためです。
アパートとは一般的に、階数が2階〜3階で、木造または軽量鉄骨構造の集合住宅です。アパートという呼び方以外に、「コーポ、ハイツ、ハイム」と呼ばれることもあります。
アパートの特徴としては、物件数が多く選択肢が幅広いことが挙げられます。学生向けのアパートも豊富です。
例えば、立地、セキュリティ、間取りなど、さまざまな条件の中から、自分のニーズに合ったアパートを選べるのがメリットといえるでしょう。
▼ 特徴
・2階〜3階程度の木造または軽量鉄骨構造の集合住宅
・大学生の住まいとしては最も一般的
・物件数が豊富で選択肢が幅広い
1-2. マンション
2つめの住居形態は「マンション」です。
マンションとは一般的に、階数が3階以上で、鉄骨や鉄筋コンクリート造の集合住宅を指します。
アパートに比較すると、マンションは建物の構造がしっかりしています。耐震性、耐火性、遮音性などに優れている点がメリットです。
ただし、その分、マンションの家賃は高額になるというデメリットがあります。
マンションの中には、入居者を学生に限定したマンションもあります。「学生マンション」と呼ばれ、学生マンションには「女子学生専用」「男子学生専用」などさまざまなタイプがあります。
学生マンションは、普通のマンションに比較して、セキュリティ面やサポート体制の充実度に優れる一方、かかる費用は高額になります。
「アパートを第一候補としつつ、予算に合えばマンションも選択肢に入れる」と考えておくのがおすすめです。
▼ 特徴
・耐震性・耐火性・遮音性などに優れている
・家賃や高額になる傾向
・学生専用の学生マンションもある
1-3. 大学の寮(学生寮)
3つめの住居形態は「大学の寮(学生寮)」です。
大学の寮(学生寮)とは、大学が用意する、その大学の学生専用の住居です。大学の敷地内や大学のすぐ近くに建っていることが多く、大学へ通学しやすいのが特徴です。
寮費の月額は、数千円〜数万円以上まで大学によって幅があります。アパートやマンションに比較すれば、大幅に安いことが多いでしょう。
どのような学生寮を運営しているかは、大学によって大きく異なります。例えば、2人〜4人部屋の相部屋の寮もあれば、ワンルームマンションのような1人部屋の寮もあります。
食事についても、共同キッチンで自炊する、3食付き、2食付きなど、寮によってさまざまです。
学生寮では、机・ベッドなどの家具、洗濯機・冷蔵庫などの家電は、基本的に備え付けられています。新たに購入する必要がないので、出費を最小限に抑えられるでしょう。
大学寮は、その大学によって雰囲気がさまざまですし、合う・合わないは学生本人の性格にもよります。大学寮に入るかどうかは、本人の希望を重視して決めたいところです。
▼ 特徴
・大学の敷地内またはすぐ近くにあることが多い
・アパートやマンションより月額が安い傾向
・食事付きの学生寮もある
・家具や家電を新たに購入する必要がない
1-4. 学生会館
4つめの住居形態は「学生会館」です。
学生会館とは、“民間業者が運営する学生寮のようなもの”と考えるとわかりやすいでしょう。
大学が運営している学生寮と違い、学生会館では特定の大学縛りはありません。学生会館の近隣にある、さまざまな大学の学生たちが入居しています。
学生会館には、食堂・ラウンジ・浴室などの共有スペースがあり、学生同士の交流も盛んな傾向があります。家具や家電は、基本的に備え付けで、新たに購入する必要はありません。
食事は、「食事付き/なし」を選べるのが一般的です。基本的に管理人(または寮父、寮母)が24時間常駐しており、安心感があります。
大学が運営している学生寮と違って、学生会館は運営が民間企業のため、家賃は安くはありません。セキュリティや管理がしっかりしている分、同等のマンションと比べると、家賃が高い傾向にあります。
経済的に十分な余裕があり、かつできる限りセキュリティに配慮した住まいを選びたい方には、学生会館がおすすめです。
▼ 特徴
・管理人が常駐しておりセキュリティ面での安心感がある
・家具・家電付きなことが多い
・食事付き・なしが選べる
・家賃は高めの傾向
1-5. シェアハウス
5つめの住居形態は「シェアハウス」です。
シェアハウスは、近年選ぶ人が多くなっている形態で、ひとつの家を複数の他人でシェアして暮らす賃貸物件です。
トイレ・キッチン・バス・リビングを共同で使い、部屋は個室というケースが一般的です。家賃は、一般的なマンションやアパートに比較すると安くなる傾向にあります。
メリットとしては、他人との共同生活で一人暮らしの心細さが軽減されることが挙げられます。
一方、シェアハウスは、学生寮や学生会館とは異なり、共同生活が第三者に管理されているわけではありません。あくまでも、シェアハウスの住人同士で自主的に管理していく必要があります。
シェアハウスを利用する学生は少しずつ増えていますが、初めての一人暮らしでのシェアハウスはおすすめできません。
万が一トラブルが起きた場合には、住人同士で解決する必要があるためです。高校を卒業したばかりの新・大学生には、シェアハウス以外の選択肢がおすすめです。
▼ 特徴
・家賃は安くなる傾向
・共同生活のため一人暮らしの心細さが軽減される
・管理は住民同士の自主性に任される
1-6. 下宿
6つめの住居形態は「下宿」です。
下宿とは、人の家の空き部屋を間借りして住むことです。
かつては、大学の近くに戸建を構えている一般の人が大家になり、学生に部屋を貸すスタイルの下宿が多くありました。
現在ではそのスタイルでの下宿は減っていますが、「親戚の家に下宿する」ケースは見られます。親戚宅に下宿する場合には、親戚に対して、家賃や生活費にあたる「下宿代」を支払うのが一般的です。
一人暮らしに比べて安心感はありますが、下宿先への気遣いが必要になったり、生活スタイルの違いでトラブルが起きたりというデメリットも考えられます。
通う大学の近くに、仲の良い祖父母・親戚宅があれば、検討してみる価値はあるでしょう。
▼ 特徴
・かかる費用は安くなる傾向
・下宿先への気遣いが必要
・生活スタイルが合わないとトラブルになる可能性もある
2. 大学生のアパートの選び方② どこの地域に住むか選ぶ
どんな形態の住居に住むか決まったら、次は住む地域を決めます。
住む地域を選ぶときには「大まかなエリア」と「細かなゾーン」の2つをどうするか、検討しましょう。
2-1. 大まかなエリア
1つめの「大まかなエリア」は、例えば以下のようなものです。
・●●町 ××丁目
・JR△△線の沿線
・最寄り駅が●●駅〜●●駅
・大学までの通学時間が××分以内
・大学から徒歩××分以内
大まかなエリアは、進学する大学に従っておのずと決まってくるため、決めるのはそれほど難しくないはずです。
選び方としては、「大学からアパートまで、どの程度まで離れても許容できるか」という観点で考えるとスムーズです。
安全性および通学時間の短縮という観点では、大学からアパートまで徒歩15分圏内のエリアを選ぶと良いでしょう。
特に、地方から都市部へ引っ越す女子学生は、できる限り大学から近いアパートを選んでください。都市部での防犯意識に乏しく、痴漢などの被害に遭いやすい傾向があるためです。
逆に、できるだけ家賃を安くする必要がある場合や、大学の立地が都心部で大学近くの家賃が高すぎる場合には、エリアを絞りすぎないことがポイントになります。
具体的な目安としては、電車・自転車・徒歩問わず、通学時間が片道30分以内の圏内は候補エリアとしてOKとしましょう。
▼ タイプ別:選び方の実践ポイント
タイプ | エリアの決め方 |
安全性を重視したい | 大学からアパートまでは徒歩15分圏内 |
できるだけ家賃を安くしたい | エリアを絞りすぎない(通学時間が片道30分以内は候補エリアとする) |
2-2. 細かなゾーン
2つめの「細かなゾーン」とは、例えば以下のようなものです。
・●●駅の東口側(治安が悪い西口側は避ける)
・風俗店が立ち並ぶ××通りの近くは避ける
・夜になると真っ暗になる△△公園の近くは避ける
・排気ガスの量が多い××通り沿いは避ける
「細かなゾーン」に関する情報は、大まかなエリアと違い、自分で下調べしないことにはわかりません。
しかし、細かなゾーンの選び方こそ重要ともいえます。例えば、同じ「●●駅から徒歩10分」のエリアでも、「東口側と西口側では治安がまったく違う」といったケースは多いものです。
現地に出向いて調査するのがベストですが、まずはインターネット上の口コミ情報やGoogleマップなどを利用して、どのゾーンが良いか目星を付けておきましょう。
どんなゾーンを避けるべきかは、タイプ別に異なります。以下を参考に、あなたのタイプに合うゾーンを検討してみてください。
▼ タイプ別:選び方の実践ポイント
タイプ | 避けるべきゾーン |
安全性を重視したい | ・地元で治安が悪いと認知されている ・風俗店が立ち並ぶ ・夜になると真っ暗になる ・痴漢などの犯罪が多発している |
ぜんそくなど呼吸器系が弱い | ・幹線道路沿いで排気ガスの量が多い |
不眠症になりやすい | ・繁華街に近く深夜営業の居酒屋が多い |
外の物音に敏感 | ・向かいに幼稚園や学校がある ・にぎやかな商業地域 |
3. 大学生のアパートの選び方③ どんな条件が良いか決める
アパートのエリアやゾーンの目星がついたら、どんな条件のアパートが良いか、希望をさらに具体化していきます。
この章では、築年数、階数、間取りなど9つの条件について解説します。希望をイメージしながら読み進めてみてください。
3-1. 築年数
1つめの条件は「築年数」です。
築年数は、2000年6月以降に建築されたアパートを選ぶと安心です。
予算などの兼ね合いから2000年6月以降に建築されたアパートが選べない場合でも、最低限、1981年6月以降に建築されたアパートを選びましょう。
というのは、建築基準法の耐震基準が「1981年6月1日」と「2000年6月1日」に大きく改正されているためです。アパートの建築年月日によって耐震基準が異なります。
▼ 建築年月日(認可申請日)と耐震性
1981年5月以前 | 旧耐震基準:大地震で建物が倒壊するおそれがある |
1981年6月〜2000年5月 | 新耐震基準:大地震で建物が大きく損傷するおそれがある |
2000年6月以降 | 耐震性が向上し大地震が起きても損傷が少なくて済む可能性が高い |
耐震性以外のポイントとしては、築年数が浅いほど、建物や部屋の中がキレイで、耐火性にも優れている傾向にあります。
2000年6月以降の建築を基本としつつ、さらにタイプ別に以下の築年数を選んでください。
▼ タイプ別:選び方の実践ポイント
タイプ | 選ぶべき築年数 |
新しくてキレイな部屋がいい | 新築または築年数5年以内 |
家賃を安くしたい | 築年数15年以上 |
3-2. 階数
2つめの条件は「階数」です。
大まかには、「2階以上を希望するか/1階でも許容するか」を決めます。
・2階以上のみ
・1階でも可
女子学生は、1階は避けて2階以上を選んでください。1階よりも2階の方が、防犯性が高まるためです。
一方、同じ間取りでも、2階より1階の方が家賃は安くなる傾向にあります。家賃の安さを重視するのであれば、「1階でも可」の条件としましょう。
▼ タイプ別:選び方の実践ポイント
タイプ | 選ぶべき階数 |
防犯性を重視したい | 2階以上のみ |
家賃を安くしたい | 1階でも可 |
3-3. 間取り(1R/1K/1DLなど)・広さ
3つめの条件は「間取り・広さ」です。
・1R(1部屋のみ)
・1K(1部屋+キッチン)
・1DK(1部屋+キッチン+ダイニング)など
– – – –
・6畳
・8畳
・10畳以上 など
一般的な大学生の一人暮らしであれば「1R」または「1K」の間取りで広さは6畳程度あれば十分です。
実際に、多くの学生向けアパートの間取りが「1Rまたは1Kで6畳前後」となっていますので、この条件で探せば、選べるアパートの数が増えます。
特別な事情や希望がある場合には、そのニーズにあった間取りを選んでください。
例えば、美大生でアトリエが必要、音大生で楽器の置き場が必要、大量の書籍を保管したい、などのケースでは、そのために必要な間取り・広さを設定しましょう。
3-4. 部屋の向き(南向き/東向きなど)
4つめの条件は「部屋の向き」です。
・南向き
・東向き
・北向き
・西向き
部屋の向きによって、日当たり・室内の明るさ・室温が変わります。一般的には、南向き・東向きの物件が人気です。
実際のところ、大学生の一人暮らしでは、部屋の向きにこだわる人は多くありません。しかし、日光は精神状態に大きな影響を与えているといわれます。
一人暮らしでの気分の落ち込みやホームシックを防ぐためには、北向きを避けて、南向き・東向きの部屋を選ぶのがおすすめです。
ただし、南向き・東向きの部屋のデメリットとして、夏の室内の気温が上がりやすいことや書籍が日焼けしやすいことが挙げられます。家賃も、北向きの部屋に比べると高くなる傾向にあります。
自分のタイプに合わせて、合う向きを選びましょう。
▼ タイプ別:選び方の実践ポイント
タイプ | 部屋の向き |
気持ちが落ち込みやすい | 南向き・東向きを選ぶ |
夏の暑さに弱い | 南向きは避ける |
家賃を安くしたい | 指定しない(どの向きでもOKとする) |
3-5. バストイレ(一緒/別)
5つめの条件は「バストイレ」です。
・バストイレは別のみ
・バストイレは一緒でも可
「バストイレが一緒」のイメージがわかない方は、下の写真をご覧ください。
▼ 「バストイレが一緒」の例
スペースの取れない学生向けのアパートでは、シャワー・洗面台・トイレが1つの空間に収まっているケースが多くあります。
「お風呂が好きだから、広いお風呂が付いた部屋を選びたい」
「トイレとお風呂が同じなのは、何となく嫌」
など、こだわりがある人は、希望を決めておきましょう。
強いこだわりがないなら、「バストイレ一緒でもOK」の条件でアパート探しをするのがおすすめです。
なぜなら、バストイレ一緒の学生向けアパートは数多く、バストイレ別を必須条件にすると選択肢が大幅に狭まってしまうからです。
3-6. 調理器具(ガス/IH/何口など)
6つめの条件は「調理器具」です。
・電気コンロ
・IHクッキングヒーター
・ガスコンロ
・2口以上/1口でも可
火力の強さは、「電気コンロ < IHクッキングヒーター < ガスコンロ」の順に強くなります。
特に強いこだわりがなければ、調理器具の条件は指定なしとしましょう。
そう聞くと「調理器具を指定しないと、電気コンロでは心配」と感じる親御さんも、いらっしゃるかもしれません。確かに、親御さんの世代では「電気コンロでは、なかなかお湯が沸かない・自炊できない」という経験をされた方が多いはずです。
しかし近年では、卓上IHクッキングヒーターが数千円で購入できます。
アパートに備え付けの調理器具がパワー不足だったとしても、調理器具を買い足すことでフォローできます。アパート選びの段階では、調理器具で選択肢を狭めない方が得策です。
3-7. 洗濯機置き場(室内/室外)
7つめの条件は「洗濯機置き場」です。
・洗濯機置き場は室内のみ
・洗濯機置き場は室外でも可
スペースの限られた大学生向けのアパートでは、洗濯機の置き場が室内になく、玄関脇やベランダに洗濯機を設置する仕様になっているケースがあります。
洗濯機置き場が室外の場合、以下のデメリットがあります。
・雨の日・寒い日・暑い日などに屋外に出て洗濯する必要がある
・洗濯機が雨風にさらされて傷みやすい
これらのデメリットを許容したうえで洗濯機置き場が室外でも可とするか、室内のみとするかを決めます。
女子学生は、洗濯機置き場は「室内」にあるアパートを選んでください。室外の洗濯機置き場では、毎日、一定の時間に外に出ることで、性犯罪の標的にされるリスクがあるためです。
一方、「少しでも家賃を安くしたい」という男子学生は、洗濯機置き場が室外も許容すると、選択肢が広がります。
▼ タイプ別:選び方の実践ポイント
タイプ | 洗濯機置き場の選び方 |
女子学生 | 室内を選ぶ |
家賃を安くしたい男子学生 | 室外も可とする |
3-8. オートロック・インターホンの有無
8つめの条件は「オートロック・インターホンの有無」です。
・オートロック あり/なし可
・インターホン あり/なしでも可
オートロックとは、各部屋にたどり着く前にアパート共用の玄関扉や門があり、建物内に入るためには、鍵や暗証番号が必要な仕様のことです。外部からの不審な侵入者を防ぎやすいメリットがあります。
インターホンとは、アパートの部屋の中から、各部屋の玄関ドアの外にいる人と通話できる装置のことです。部屋のドアを開けずに、安全に会話ができることがメリットです。
アパートでオートロックがある物件は非常に少ないため、オートロックはなしでも可の条件としておきましょう。
一方、インターホンはありのアパートを選んでください。インターホンは、大学生の一人暮らしを狙った不審者や強引な営業をブロックするうえで重要な設備となります。
3-9. その他
その他に希望したい条件があれば、忘れずにピックアップしましょう。
例えば、以下のような条件が挙げられます。
・宅配ボックスあり
・駐車場・駐輪場あり
・楽器可
・収納スペースの大きさ
・窓の向き・大きさ
・フローリング/カーペット/畳 など
・近くにスーパー/コンビニがある
特にこだわりがなければ、これらの条件を設定しない方がアパートの選択肢が広がります。
4. 大学生のアパートの選び方④ 仲介を依頼する不動産業者を選ぶ
条件がまとまってきたら、いよいよ不動産業者を訪ねます。
不動産業者には、大きく分けて「賃貸専門の大手チェーン」「地域密着型の地元の不動産屋」の2つがあります。
この2つでは持っている物件情報が異なります。それぞれ1軒以上ずつ訪問して、アパート探しを手伝ってもらうようにしてください。
そうすることで、まんべんなく広い物件情報にあたれるようになります。
日程の都合などで1軒しか訪問できないなら、後者の「地域密着型の地元の不動産屋」を訪問しましょう。学生のアパート探しには、「地域密着型の地元の不動産屋」のメリットが大きいためです。
「賃貸専門の大手チェーン」「地域密着型の地元の不動産屋」について、詳しくは以下で解説します。
4-1. 賃貸専門の大手チェーン
1つめの「賃貸専門の大手チェーン」は、全国展開している不動産業者です。
例えば「エイブル」「お部屋探しMAST」「ピタットハウス」などは、賃貸専門の大手チェーンです。テレビCMなどで名前を聞いたことがある企業も多いでしょう。
メリットとしては、特定の地域だけでなく全国的に展開しているため、取り扱い物件が豊富なことが挙げられます。
一方、営業担当者は本社で採用されて各地域の店舗に配属されます。そのため、地元出身ではないことがほとんどです。地元の人しか知らない濃厚な情報が得られる可能性は低いでしょう。
▼ 特徴
・物件数が豊富
・営業担当者が地元出身ではない
4-2. 地域密着型の地元の不動産屋
2つめの「地域密着型の地元の不動産屋」は、地元に深く根差した不動産業者です。
地元の不動産屋さんは、大学生向けの物件を数多く扱っています。大学生のアパート探しでは、強い味方になってくれるでしょう。
メリットとして挙げられるのは、地元の人しか知らないマニアックな情報にまで、よく精通していることです。その地域の学生たちに長年アパートを仲介しているため、大学の先輩たちの失敗談や反省ポイントを教えてもらえることもあります。
デメリットは、地元に特化しているため、地元以外の物件の扱いは少ないことです。ですが、大学生が大学周辺の地域に限定してアパート探しをするうえでは、支障ないことがほとんどでしょう。
▼ 特徴
・地元の情報に強い
・地元の大学向けの物件を多数扱っている
・地元以外の物件には弱い
5. 大学生のアパートの選び方⑤ 複数の候補から部屋を決める
不動産業者に相談しながら、複数の候補まで絞ることができたら、最終的にはひとつのアパートに決めなければなりません。
「候補となっているアパートがどれも一長一短で、決め手にかける」と迷うこともあるでしょう。
そんなときに、“最終的な決め手”として再チェックしてほしい3つの点をご紹介します。
5-1. 隣近所の住民の様子
1つめのチェックポイントは「隣近所の住民の様子」です。
ほぼ同じ条件のアパートだったとしても、上下左右の部屋に住んでいる住人は異なります。
近くに住んでいる住民がどんな人なのか確認し、不審な人物がいると考えられる場合には、避けてください。
▼ 隣近所の住民の様子のチェック方法
・不動産業者に上下左右にどんな人が住んでいるのか質問する
・内見(現地での見学)の際に近隣住民のベランダ・郵便受けの状態を確認する
・アパート共用のゴミ置き場・自転車置き場などの状態を確認する
近い部屋のベランダにゴミがあふれていたり、共用部分が荒れていたりするアパートは避けるようにしましょう。
女子学生であれば、上下左右に住んでいる人が女性のアパートを優先して選んでください。
なお、アパートを内見するときに見るべきポイントは「学生 アパート コツ」にて詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
5-2. 大学までの通学路や駅までの道
2つめのチェックポイントは「大学までの通学路や駅までの道」です。
どんなにそのアパートが建っている場所(スポット)の環境が良くても、大学や最寄り駅までの道に危険があれば、トラブルに巻き込まれるリスクが高くなります。
具体的には、以下のアパートは避けた方が安全です。
・夜間に真っ暗になる道を通る必要のあるアパート
・人気がなく逃げ場もない一本道の先にあるアパート
・騒ぐ酔っ払いの多い通りを通らないと帰れないアパート など
5-3. 家賃・敷金・礼金・仲介手数料の金額
3つめのチェックポイントは「家賃・敷金・礼金・仲介手数料の金額」です。
条件がほぼ同じであれば、最終的には費用が安く住む物件を選びましょう。
アパートに関わる諸費用には、以下があります。
・家賃
・敷金
・礼金
・仲介手数料
諸費用について詳しくは次章以降でご紹介していきますので、続けてご覧ください。
6. 大学生のアパートの家賃はいくら?目安は5万円台
「大学生のアパートの家賃は、いくらくらいかかるの?」と疑問に思う方は多いでしょう。
地域によって大きな差が出るので断定はできませんが、ひとつの目安としては「5万円台」と捉えておきましょう。
というのは、大学生の平均家賃が53,930円だからです。詳しく見てみましょう。
6-1. 大学生の平均家賃は53,930円(2019年調べ)
全国大学生活協同組合連合会によると2019年に実施された調査で、自宅以外で暮らしている大学生の住居費は53,930円となっています(出典:全国大学生活協同組合連合会「第55回学生生活実態調査」)。
53,930円という金額を高いと捉えるか安いと捉えるかは、それぞれの状況によって異なるかと思いますが、ひとつの目安として参考になるでしょう。
6-2. 地域・条件によって家賃は大きく異なる
前項でご紹介した「住居費 53,930円」という数字は全国平均です。
都市部に住む大学生では、さらに1〜2万円程度、上乗せされることを考慮しておきましょう。
例えば、東京都内であれば「6万円台〜7万円台」が目安となります。
なお、住居費は地域性だけでなく、アパート物件の条件によって大きく変わります。
「3. 大学生のアパートの選び方③ どんな条件が良いか決める」の章でアパートの条件の選び方を解説しましたが、良い条件のアパートほど、家賃は高くなります。
アパートの条件を決めるときには、家賃との兼ね合いを見ながら、「絶対にゆずれない条件/妥協しても良い条件」を判断していくことが大切です。
7. 初期費用を減らしたいなら敷金・礼金・仲介手数料に着目して選ぶ
アパートを契約する際には、大家さんに支払う家賃とは別に、3つの初期費用「敷金・礼金・仲介手数料」がかかります。
このあと詳しく解説しますが、この3つの費用のうち「敷金」は大家さんに預けておくお金で、使わなければ退去時に返金されるものです。「礼金」と「仲介手数料」は、払ったきり返金されないお金です。
返金の有無 | |
敷金 | ○退去時に返金される |
礼金 | ×返金されない |
仲介手数料 | ×返金されない |
後から返ってくる・返ってこない関係なしに、最初に支払う現金の総額をできるだけ減らしたいなら「敷金・礼金・仲介手数料」が少ないアパートを選んでください。
後から返ってくる可能性がある敷金は良しとして、それ以外の返金されない費用を減らしたい場合には「礼金・仲介手数料」が少ないアパートを選んでください。
以上の前提を踏まえつつ、3つの初期費用について詳しく見ていきましょう
7-1. 敷金(家賃の1〜3ヶ月分)
1つめの初期費用は「敷金」です。敷金とは、貸主(大家さん)に預けておく担保金のようなもので、金額は家賃の1〜3ヶ月分が一般的です。
敷金が具体的にどんな使われ方をするのか、例を挙げましょう。
▼ 敷金の用途例
・借主であるあなたが家賃を滞納したら、貸主(大家さん)は敷金から滞納した家賃を補填する
・アパートから退去する際に、借主であるあなたの負担で修繕を行う必要性が出た場合に敷金を修繕費用に充てる
滞納の補填や修繕などの必要がなく、退去まで敷金が使われなかった場合には、敷金は退去時に借主に返金されます。
「使わなければ後で返ってくる可能性があるお金」と考えれば、敷金は高めであっても許容したいところです。
ただし、注意点として、敷金は「必ず返ってくるお金」ではありません。修繕などに使われれば、返還されなくなります。
敷金ができるだけ多く返ってくるようにするためには、部屋をキレイに使うことも大切です。
7-2. 礼金(家賃の1〜2ヶ月分)
2つめの初期費用は「礼金」です。礼金は敷金とは違って、入居時に支払ったら戻ってくることはないお金で、金額は家賃の1〜2ヶ月分が一般的です。
「礼金」という名前のとおり、「大家さんへのお礼金」という名目で支払われるのが礼金です。
かつては、大家さんに部屋を融通してもらった謝礼や、「息子・娘をお願いします」という気持ちを込めた心づけという意味合いがありました。
現在では、そのような意味合いは薄まって、礼金が不要(礼金0ヶ月)のアパート物件も多くなっています。また、北海道など地域によっては礼金の風習自体がないこともあります。
礼金は返金されるお金ではありませんので、安ければ安い方が費用削減になります。
7-3. 仲介手数料(家賃の0.5〜1ヶ月分+消費税)
3つめの初期費用は「仲介手数料」です。仲介手数料は、不動産業者に対して、アパートを仲介してもらった報酬として支払う手数料です。
仲介手数料は法律で上限が定められています。その金額は、「借主・貸主の双方から受け取る報酬の合計額が家賃1ヶ月分以内」です。
不動産業者の立場から見ると、家賃の1ヶ月分までという上限を超えなければ、仲介手数料を借主からもらっても貸主からもらっても問題ないという決まりになっています。
実際に借主が支払う仲介手数料は、家賃の1ヶ月分または0.5ヶ月分であることが多いでしょう。
▼ 借主が支払う仲介手数料のパターン
仲介手数料の金額 | 借主・貸主の割合 |
① 家賃の1ヶ月分 | 借主が1ヶ月分支払う/貸主(大家)は支払わない |
② 家賃の0.5ヶ月分 | 借主が0.5ヶ月分、貸主(大家)が0.5ヶ月分支払う |
③ 仲介手数料無料 | 貸主(大家)が1ヶ月分支払う/借主は支払わない |
仲介手数料には消費税がかかることも覚えておきましょう。
「仲介手数料はできるだけ安くしたい」「仲介手数料が無料のアパートを選びたい」と考える方が多いと思いますが、仲介手数料の安さを基準にアパートを選ぶのはおすすめできません。
理由は、人気のないアパートは仲介手数料が安くなっているケースがあるためです。家賃の0.5〜1ヶ月分の仲介手数料は、必要経費として見積もっておきましょう。
7-4. その他の諸費用
主な初期費用は以上ですが、他にも細々とした費用がかかることがありますので、注意が必要です。
例えば、以下の費用が挙げられます。
▼ その他の諸費用
・火災保険料(数万円)
・鍵交換の費用(数万円)
・引っ越し費用(数万円〜数十万円)
・家電・家具の購入費用(数万円〜数十万円)
金額はケースバイケースで個々に異なりますが、余裕を持って資金を準備しておく必要があります。
8. これさえあれば迷わない!大学生のアパートの選び方チェックリスト
ここまで、大学生のアパートの選び方をさまざまな視点から解説してきました。
各項目をチェックリストにまとめましたので、コピー&ペーストして、メモ帳アプリなどに内容を記入してみてください。実際に記入してみることで、あいまいだった部分が明確になります。
記入できたら、このチェックリストを持って、不動産業者へアパート紹介を依頼に行きましょう。
▼ 大学生のアパートの選び方チェックリスト
住居形態 | アパート / マンション / その他( ) |
大まかなエリア | ( ) |
細かなゾーン | ( ) |
築年数 | ( )年以下 |
階数 | 2階以上のみ / 1階でも可 |
間取り | 1R / 1K / 1DL / その他( ) |
広さ | ( )畳以上 |
部屋の向き | 南向き / 東向き / 北向き / 西向き / 希望なし |
バストイレ | バストイレ別のみ / 一緒でも可 |
調理器具 | ガス / IH 、( )口以上 |
洗濯機置き場 | 室内のみ / 室外でも可 |
オートロック | あり / なしでも可 |
インターホン | あり / なしでも可 |
その他 | ( ) |
予算 | 家賃( )円以下 敷金( )円以下 礼金( )円以下 仲介手数料( )円以下 |
9. 大学生のアパートの選び方で後悔しないための注意点3つ
最後に、大学生がアパートを選ぶうえで注意してほしい点を3つ、お伝えします。
9-1. 命にかかわる「安全性」は決して妥協しない
1つめの注意点は「命にかかわる『安全性』は決して妥協しない」ことです。
「ギリギリで春から進学が決まった。アパートを探す時間が全然ない」と、切羽詰まった状況でアパート選びをする方もいるかもしれません。
あるいは、「さまざまな費用がかさんでしまい、アパートにかけられるお金がない」という方もいるでしょう。
そんな不利な状況では、希望の条件を妥協せざるを得ないのも現実です。
しかし、決して妥協しないでほしいのは「安全性」です。なぜなら、安全性は命にかかわるからです。
本文中でご紹介した条件のなかでも、特に安全性に関わるのは以下の5項目です。
- 細かなゾーン…防犯性
- 築年数…耐震性、耐火性
- 階数…防犯性
- 洗濯機置き場…防犯性
- インターホン…防犯性
これらの条件には妥協せず、安全性の高いアパートを選びましょう。
9-2. できる限り情報収集を行ってから不動産業者と会う
2つめの注意点は「できる限り情報収集を行ってから不動産業者と会う」ことです。
事前情報なしに、いきなり右も左もわからず不動産業者の店舗に飛び込んでも、良い結果にはならないでしょう。
「悪質な不動産業者に騙されるから?」と思った方もいるかもしれません。
悪質な不動産業者がいないとはいいませんが、それ以上に、不動産業者と対等の立場でやり取りするためには、ある程度の知識を持っておくことが必要なのです。
求める条件など希望が具体的なほど、最短距離で希望物件に出会えますし、地元の状況について事前に把握していれば、不動産業者が説明する時間も省略できます。
効率的な情報収集におすすめなのは、自分が進学する大学を専門としている賃貸情報サイトです。ピンポイントで、欲しい情報がまとまっています。
例えば、『つくいえ』では筑波大学に特化した情報をお届けしていますが、それぞれの大学に特化した情報サイトを探してみてください。
9-3. 成功させるコツを事前に把握しておく
3つめの注意点は「成功させるコツを事前に把握しておく」ことです。
この記事では、大学のアパートの選び方について、初心者の方にもわかりやすく解説しました。ここまでお読みいただいた方は、一通りの基礎知識が備わったはずです。
一方、基礎知識の先まで踏み込んだコツ(テクニック)も知っていると、さらに自信を持ってアパート選びを進められるでしょう。
アパート選びを成功させるコツやテクニックは、「学生 アパート探し コツ」にて解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
10. まとめ
大学生のアパートの選び方は、以下の5つのステップに沿って行うとスムーズです。
① 住居の形態を選ぶ
- アパート
- マンション
- 大学の寮(学生寮)
- 学生会館
- シェアハウス
- 下宿
② どこの地域に住むか選ぶ
- 大まかなエリア
- 細かなゾーン
③ どんな条件が良いか決める
- 築年数
- 階数
- 間取り(1R/1K/1DLなど)・広さ
- 部屋の向き(南向き/東向きなど)
- バストイレ(一緒/別)
- 調理器具(ガス/IH/何口など)
- 洗濯機置き場(室内/室外)
- オートロック・インターホンの有無
- その他
④ 仲介を依頼する不動産業者を選ぶ
- 賃貸専門の大手チェーン
- 地域密着型の地元の不動産屋
⑤ 複数の候補から部屋を決める
- 隣近所の住民の様子
- 大学までの通学路や駅までの道
- 家賃・敷金・礼金・仲介手数料の金額
大学生の平均家賃は53,930円(2019年調べ)ですが、地域・条件によって家賃は大きく異なることを認識しておきましょう。
初期費用としてはかかる費用には以下があります。
▼ 初期費用
- 敷金(家賃の1〜3ヶ月分)
- 礼金(家賃の1〜2ヶ月分)
- 仲介手数料(家賃の0.5〜1ヶ月分+消費税)
- その他の諸費用
大学生のアパートの選び方で後悔しないための注意点はこちらです。
▼ 注意点
- 命にかかわる「安全性」は決して妥協しない
- できる限り情報収集を行ってから不動産業者と会う
- 成功させるコツを事前に把握しておく
以上の知識をもとに、ぜひ最適なアパートを探してくださいね。春からの大学生生活が素晴らしいものとなりますように。