目次
1.社会工学類の基本情報
社会工学類は、筑波大学の理工学群にある1つの学科のことを指します。理工学群は、数学類、物理学類、化学類、応用理工学類、工学システム学類、そして、社会工学類の6つで構成されている学部のようなものです。
社会工学類は、社会問題に対して数理的アプローチから解決するための人材を育成する学部です。ここで、大学HPにある社会工学類の説明を抜粋します。
- 社会工学類
経済,企業,都市,行政などの社会システムに関心を持ち,次のような能力を 備えた人材を育成する。
(1) 多様な社会システムとそれを取り巻く環境を理解する。
(2) 社会のニーズをとらえ,改善・改革のための政策を提言する。
(3) 理工学的アプローチにより,社会システムの問題を解決する。
(4) プロフェッショナルとして,高いコミュニケーション力と職業倫理を身に付けている。
社会工学類には、3つの主専攻と9つのエリアがあります。
社会経済システム主専攻
社会経済システム主専攻では、個々人と社会および経済を結ぶ制度を「システム」として捉えます。システム設計のための理論、システムを検証するためのデータ分析の手法、社会・経済問題を解決するための具体的な政策立案などについて学びます。
・計量分析システムエリア
社会経済問題への定量的アプローチにより問題解決策を探ります。主として計量経済学手法を用いたデータ分析より、ファイナンスなどの問題を考えます。
・公共システムエリア
現代的な経済のもとでの社会経済システムのあり方を考えます。市場の失敗や不平等な所得分配を矯正する公共部門の政策的役割などを学びます。
・戦略行動システムエリア
社会経済システムの最重要要素である人間の意思決定・戦略行動を学びます。これにより,社会経済問題の解決のための政策評価・立案の基礎を得るものとします。
経営工学主専攻
現在企業をはじめとする組織体は、最先端の情報技術(IT)と数理工学を活用した、客観的な事実に基づく管理・運営・意思決定を行う方向に進んでいます。経営工学主専攻では、世界で通用する「数学力×IT力×現場力」を身につけた人材の育成を目指しています。
・マネジメントエリア
経営が直面する現実の諸問題を把握し、それを解決することが出来る人材を養成します。また、マネジメント演習を通じ、専門性を経営現場に応用し、適時に適切な意思決定を行うための能力を養います。
・情報技術エリア
ウェブサービスや業務情報システムなどを支える基盤技術やデータ解析やシミュレーションなどにおける計算の道具の理論的基礎から経営工学における応用の実例までを視野に科目を提供します。
・数理工学モデル化エリア
経営工学の目的である「科学的管理」の実践において、強力な武器となる、様々な数理モデルを習得します。
都市計画主専攻
私たちが生活する都市は、様々な問題に直面しています。都市計画主専攻は、都市の中であらゆる人々が安全・安心・便利・快適に暮らせるよう、科学的・工学的方法を用いて問題を分析し、解決策を提案できる人材を養成しています。
・環境とまちづくりエリア
現実の都市空間の創造・保全に関わる実践的な理論と事例を学び、具体的計画案を立案するために必要な思考方法・設計技術とプレゼンテーション能力を習得します。一級・二級建築士の受験資格も得られます。
・都市構造・社会基盤エリア
都市構造とそれを支える土地利用・交通・防災などの各種計画、人々の活動を支える都市施設などの社会基盤について学び、シミュレーションや地理情報システムなどのツールを駆使しながら、都市計画を立案するための技能を習得します。
・地域科学エリア
都市、地域、環境についての経済学的な理論、都市や地域における現象を科学的に解明する理論、さらに実際の政策や計画を立案するために必要な分析や評価の手法などを学びます。
以上のように、社会工学類では幅広い分野の中から自分の興味のある分野を選択し、専門的に学ぶことができます。
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2.社会工学類には何人が入学できるの?
実際に、毎年「社会工学類」には何人の受験生が入学するのか。それは120名程度となります。
入試形態ごとの募集人数を以下に記載します。
【2021年度募集人数】
入試形態 | 人数 |
推薦入試 | 15 |
前期入試 | 60 |
後期入試 | 15 |
総合選抜 (入学者の2年次受入人数) | 30 |
その他、「国際バカロレア特別入試」「私費外国人留学生入試」などの入試形態もあります。こちらは、年によって0~2名の入学者です。入学する学生がいない年もあります。
3.社会工学類に入ると取得できる資格や就職先は?
社会工学類に入学すると、どんなメリットがあるのでしょうか。
取得できる資格は?
取得できる資格は、以下の通りです。
■ 中学一種免許状(数学)
■ 高等学校一種免許状(数学)
もちろん、上記の資格取得には、社会工学類で行われている”特定の授業”と教職科目を履修し、単位を取得する必要があります。時間も労力もかかるので、本当に教員になる予定がある人がとるのをおすすめします。「どの授業を取るべきか」については、入学後に社会工学類の学生支援室に相談してみるとよいでしょう。
(参考URL) 社会工学類 学生支援室
https://www.sk.tsukuba.ac.jp/College/
先輩方の進路の傾向は?
大学院進学:約5∼6割
国・地方公共団体・民間企業への就職:約4∼5割
民間企業などの就職先を専攻別でまとめると
社会経済システム主専攻:金融関係、情報関連、流通・サービス等
経営工学主専攻:電機、電子、情報、通信、ソフトウェア等の製造及び情報関連企業
都市計画主専攻:建設、不動産、運輸を中心とする都市・地域開発種
となっています。
4.社会工学類の入試対策編:入試科目と配点を知ろう!
先の章で、社会工学類の主な入試形態を記載しました。本章では、入試形態ごとの入試科目と配点について記載致します。
推薦入試
令和2年の入試では、22名の募集枠が15名に変更となりました。
そのため、枠数が少なく倍率も上がる傾向が予想されています。
➀ 小論文:300字程度
社会問題に対する知識・意見を問われる
② 面接
配点の表記はありません。「小論文」「面接」の結果を受けて、総合的に合格者を判断することとなります。
一般前期入試
一般前期入試の入試科目・配点は以下の通りです。
➀ センター試験
国語、地歴公民、数学、理科、外国語の5教科6∼7科目の受験が必要。
・国語:80点
・地歴公民:40点
※世A、世B、日A、日B、地理A、地理B、現社、倫理、政経、倫理・政経から1つ選択。
・数学:100点
※数Ⅰ・A、数Ⅱ・B、簿、情報から1つ選択。
・理科:40点
※物基、化基、生基、地基から2つ、もしくは、物理、化学、生物、地学から1つ選択。
・外国語:100点
※英(リスニング含む)、独、仏、中、韓から1つ選択。
合計で360点満点で、算出。
② 個別試験(二次試験)
外国語(英語)と数学の2教科2科目と小論文の受験が必要。
・外国語:200点
※英、独、仏から1つ選択。
・数学:200点
※数Ⅱ・数Ⅲ・数Bから出題。
合計で400点満点で、算出。
一般後期試験
➀センター試験
国語、地歴公民、数学、理科、外国語の5教科6∼7科目の受験が必要。
・国語:80点
・地歴公民:40点
※世A、世B、日A、日B、地理A、地理B、現社、倫理、政経、倫理・政経から1つ選択。
・数学:160点
※数Ⅰ・A、数Ⅱ・B、簿、情報から1つ選択。
・理科:40点
※物基、化基、生基、地基から2つ、もしくは、物理、化学、生物、地学から1つ選択。
・外国語:160点
※英(リスニング含む)、独、仏、中、韓から1つ選択。
合計で480点満点で、算出。
②個別試験(2次試験)
個別試験では、小論文のみの実施を行う。
・小論文:200点
※現代社会の課題や動きに関する資料から抜粋した図表と英文を題材に与え、その内容に関する設問を論述形式で解答させる。英語理解力や論理的・数理的な分析力をみる。
【一般(前期・後期)入試_配点まとめ】
【前期】
試験の区分 | 国語 | 地歴 | 公民 | 数学 | 理科 | 外国語 | 配点合計 | |
センター試験 | 80 | 40 | 100 | 40 | 100 | 360 | ||
個別学力検査 | × | × | 200 | × | 200 | 400 | ||
計 | 80 | 40 | 300 | 40 | 300 | 760 |
【後期】
試験の区分 | 国語 | 地歴 | 公民 | 数学 | 理科 | 外国語 | 小論文 | 配点合計 | |
センター試験 | 80 | 40 | 160 | 40 | 160 | × | 480 | ||
個別学力検査 | × | × | × | × | × | 200 | 200 | ||
計 | 80 | 40 | 160 | 40 | 160 | 200 | 680 |
5.社会工学類の一般入試(前期・後期)合格ライン
~最高点・最低点・平均点はどれくらい?~
2018年-2020年の過去3年間の合格者の最高点・平均点・最低点を記載します。
下記の表を確認ください。
【前期】※760点満点
年度 | 最高点 | 平均点 | 最低点 |
2018 | 656 | 537.3 | 491 |
2019 | 654 | 575.3 | 544 |
2020 | 689 | 605.3 | 577 |
センター試験と2次試験の割合はほぼ同じなので、センター試験の得点は直接合否に関わってきます。また、2次試験の数学と外国語はセンター試験での配点も高く、重点的に対策する必要があります。
【後期】※680点満点
年度 | 最高点 | 平均点 | 最低点 |
2018 | 595 | 552.4 | 520 |
2019 | 594 | 561.1 | 540 |
2020 | 566 | 534.1 | 507 |
2次試験が小論文のみなので、センター試験での数学と外国語が前期試験よりも高くなっています。
6.社会工学類の入試対策編:センター試験のオススメ勉強法は?
社会工学類では前期試験でも後期試験でもセンター試験の配点が高くなっています。その中でも前期試験の2次試験の科目である数学と英語の配点が高くなっています。2次試験対策と効率よく勉強することが大事になってきます。
以下、先輩方のオススメ勉強方法を抜粋します。
社会工学類2017年入学_H.Eさん
解けないくらい難しい問題が出るということではないと思うので、分野をはっきり絞って自分が点が取れていない苦手分野を把握した。その上で徹底的に基礎を鍛えた。あとは、ひたすらに演習を行なっていた。センター試験は、特殊な部分も多い(マーク式とか)なので、慣れていなかったがために点を落としたくなかった。
社会工学類2017年入学_Aさん
二次試験のある科目(英語、数学)に関しては、普段の勉強に加え、過去問を解きました。他の科目(国語、現代社会、物理、化学)に関しては、センター試験用の問題集や、過去問などを解きました。
7.社会工学類の入試対策編:一般前期入試のオススメ勉強法は?
社会工学類は理系ですが、センター試験での理科の配点は低く2次試験の科目にもなっていません。
数学が得意で理科は得意でない人にとっては受験しやすい学類であると言えます。
2次試験の科目は数学と英語で、センター試験での配点も高くなっています。
数学と英語の対策法について、先輩方のオススメ勉強方法を抜粋します。
社会工学類2017年入学_Aさん
英語と数学が2次試験の受験科目でした。
・英語について
高3になるまでに文法および英単語(ターゲット1900)を一通り身につけて、高3からは英文解釈や長文の読解問題を中心に勉強しました。また、9月あたりからは志望校や併願校の過去問を解くようにしました。
文法については授業や参考書などで単元ごとに基本事項を理解したあと問題集を解いて(1周目解いた時に、間違えたものおよび不安なものに印をつけ、2周目以降ではしるしのついたもの中心に解く)知識を定着させました。
読解については夏休みまでは時間はそれほど気にせず正確に解くことを意識し、夏休み後からは制限時間内に解くことを意識しました。問題を解き終えてからは復習として音読をしました。まずその英文の解説を読み、意味がとれるようにした後、意味を思い浮かべながら、構文を意識しながら英文を読みました。10回を目安に読むようにしていました。時間がかかるとは思いますが、これによって読解の速度も精度も大きく上昇すると思います。
・数学について
授業の復習を大切にしていました。授業で扱った問題(またはその類題)を何も見ずに解けるようになるまで繰り返し解きました。また、夏休みからは入試問題で演習をするようにしましたが、これもできるようになるまで繰り返し解きました。また、志望校の過去問を解き始めたのはセンター試験後です。
社会工学類2018年入学_K.Cさん
とにかく量をやることだと思います。
僕は要領が悪い上、納得出来ないと次に進みたくないような人間なので、
他人に比べると多大な時間を必要としました。
英単語はひたすら読んで、書いてを繰り返しましたし、
数学も解けない問題が無くなるまでただやり続けました。
しかし、そのおかげで頭にしっかりと、特に数学と英語の基本が叩き込まれました。
筑波大学では基礎を聴かれる問題が多く出題されるので、
このお陰で自分は高得点を出すことが出来ました。
勿論「量か、質か」と議論したときに量が全てとは思いません。
しかし時間を掛けたくないからという理由で効率性などの質を重視したり、
そもそもどちらにすべきか自信がないのであればとにかく量をこなすことをお勧めします。
勉強法としては役に立たないかも知れませんが、
量をこなすことが最もローリスク・ハイリターンの手法だと思っています。
8.社会工学類の在校生に聞いた!入学後の良かった事やGAPは?
本章では、社会工学類の先輩方が書いてくれた「合格体験記」を参考に、「入って良かったな」「GAPに感じた」こと抜粋しました。
良かった事
社会工学類2017年入学_Aさん
興味のある講義が多く、集中して勉強できます。加えて、実習もあるので、楽しく学べています。加えて、そこまで忙しくないので、それ以外のこともできます。私は資格の取得(日商簿記検定試験2級)や、サークル活動も行いました。
GAPについて
社会工学類2017年入学_I.Nさん
他の理系に比べてアクティブな学生が多いと思います。社会工学は部屋にこもってずっと勉強するというよりは現場を大切にしていて、様々な現場を知る機会や、民間企業との連携の機会が設けられています。勉強にも私生活にもアクティブに活動したい人にはいいと思います。
社会工学類は広く学習することができ、自分のやりたいことに積極的に取り組める環境が整っています。学習以外にも、部活動やサークル活動に積極的に参加している人が多いのも特徴です。明確にやりたいことが決まっていない人でも有意義な時間を過ごすことができる学類です。
9.最後に
みなさん、いかがでしたでしょうか。
アパート専門情報サイト「つくいえ」では、全25学類161人の筑波大学の先輩に「合格体験記」を書いてもらっています。今回は、”社会工学類”の入試情報・合格体験記をまとめました。先輩方、1人1人の合格体験記も是非ご覧下さい。
今回の記事では紹介していないような、
・苦手科目の克服方法/得意科目の伸ばし方
・受験期のモチベーションの上げ方
・受験日当日の過ごし方
・筑波大学の受験会場までのアクセス
など細かく記載しています。定期的に、こういった「合格体験記」の購読したい方は、
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