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今話題の医療用ロボットスーツ”HAL” 筑波大学発のベンチャー企業が開発した世界に誇る技術とは
・サイバーダイン社 (CYBERDYNE社)とは, HALとは何か
サイバーダイン社は2004年に筑波大学の山海嘉之教授によって設立された会社です。
特に有名なのが福祉用に開発されたロボットスーツ、”HAL”です。
HALは人が体を動かすときに流れる電気信号をコンピュータで読み取り、
人間の運動を補助する働きをします。
介護や医療現場での導入が期待され、世界的にも注目が集まっている技術です。
HALのタイプとしては下半身に装着するものや、単関節用のものなどがあります。
・実際にHALを見に行ってきた
少し前の話ですが、私はHALを用いたフィットネストレーニング、
“HAL-FIT”と呼ばれるHALを利用した、
フィットネストレーニングの現場を見させていただく機会がありました。
写真はありませんが、その時に見たHALの性能は確かなものでした。
HAL-FITは主に身体にハンディキャップを負っている方が利用されています。
その日は車いすを利用している女性が利用されていました。
スタッフの方が手伝って利用者さんにHALを装着し、その日の運動が始まりました。
正直なところ、本当にHALを付けただけで
利用者さんが歩けるようになるのか半信半疑でした。
ですが、その日の運動プログラムが始まると疑念は吹っ飛んでなくなりました。
転倒しないための補助器具を使いながらでしたが、利用者の女性は確かに自分の足で立ち、
歩いていたのです。
その日は歩いては休憩をし、HALの調整を行い、また歩いてを繰り返していました。
その時の彼女はすごく楽しそうでした。
担当者さんは、
「こうしたHAL-FITを利用していらっしゃる方々は普段自力で歩くという機会がないから、
こうして歩くだけでもすごく楽しいんですよ。」 とおっしゃっていました。
「たかが歩いただけじゃないか」 と思った方もいるかもしれません。
ですがそれは利用者の女性には当てはまらないのです。
普通なら歩けないままだったかもしれません。
ですが、HALによって利用者の女性は 人間が本来持っている「歩く」という機能と、
歩くことの喜びを手にすることができたのです。
しかも、海外ではHALを装着したフィットネストレーニングを行っていたことで、
事故で下半身に麻痺が残った男性が歩行器を使用し、
HALを使わないでも1000m以上歩けるようになるまで回復したという事例があります。
当時の医療現場に衝撃を与えたことは言うまでもありません。
・未来の医療・介護の現場を支える”HAL”
2014年の5/2にHALはアメリカのエジソン賞でサイエンスメディカル部門での治療分野では
国内初となる金賞を受賞するという功績を収めました。
しかしながら、すべてがうまくいっているというわけではありません。
欧州では医療機器として認められ、販売が可能になりました。
しかし、日本では医療用機器と福祉の現場で使用する機器に分けることになっています。
そのため、老人ホームと言った福祉の現場で使用する機器として認められても、
医療機器として認められなければ医療の場に流通させることができないのです。
そのため、日本より海外の方で先に医療用機器として認められているというのが現状です。
ですが、実際に私がこの目で見たことや、今回の金賞受賞という事実は変わりません。
特に欧州の事例や今回の金賞受賞は
世界の多くの人がこの技術に注目していることの証明です。
今後さらに技術が進歩し、国内外の医療・福祉の現場で使われていくことが期待されます。
もう数十年以内には医療や福祉の現場で、
こういう技術が当たり前に使われている時代が来ているかもしれませんね。
HALがどういうものかもっと知りたいという方は、
「サイバーダイン社」か「HAL」を検索してみてください